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ScanSnap S1500 と fi-7160 の比較(2)

ということで、前回 の続きです。ScanSnap S1500 と fi-7160 で、ぐにょり以外のスキャン時の画質(裏写り、ぼやけ、縦線)を比べてみました。

比較その2: 裏写り

fi-7160 では裏写りが改善しているという噂なので、ここも軽く比べておきます。検証用に中古で買った 咲 Saki (4) (ヤングガンガンコミックス) から、裏写りが目出つコマを抜き出してます。

まず、ScanSnap S1500 での RAW 画像(↓)。わりとはっきり裏の文字などが見えると思います。

ScanSnap Manager で出力された画像がこちら(↓)。

私の環境では裏写りがずいぶん軽減されて見てるのですが、実際はカラープロファイルを使って色変換をかけているだけで、裏写りを除去する特別な処理が入っているわけではなさそうです。ImageMagick

convert ScanSnap0.jpg -profile "ScanSnap S1500.icm" -profile "sRGB Color Space Profile.icm" scansnap_raw_profile.jpg

を実行したのとほぼ同様でした。(.icm は %SYSTEMROOT%\system32\spool\drivers\color からコピーして使っています。)

次に、fi-7160 で ScanSnap Manager for fi Series を使った場合。RAW 画像はこんな感じ(↓)です。裏写りは ScanSnap の RAW 画像と同じか、やや目立たない程度ですかね。

ちなみに ScanSnap の RAW 画像と比べると、かなり暗い画像で出力されているのがわかると思います。参考のために RAW 画像の全体像も貼っておきます。


(S1500 の RAW 画像)

(fi-7160 の RAW 画像)

ここからの処理はまだ詳しくは追っていないのですが、ScanSnap 同様色変換は行っているようです。ImageMagick

convert "ScandAll PRO0.jpg" -profile "SSM_fi-7160.icm" -profile "sRGB Color Space Profile.icm" fi7160_raw_profile.jpg

として再現してみました(↓)。少しだけ裏写りが目立たなくなりました。

これに加えて ScanSnap Manager for fi Series では何かしら変換をかけているようで、最終的に出力される画像はこの状態になります(↓)。私の環境だと判別できない程度に裏写りは消えました。

Leeyes で平均化フィルタをかけて見ると裏写りした情報も残っているようなので、これも特別に裏写り除去の処理が入っているわけではなく、コントラストを強くする類の補正じゃないかなと思います。

fi-7160 は TWAIN ドライバが使えるので、BTScan でスキャンしたものも貼っておきます。一つ前の最終形に比べるとやや裏写りが目立つかな、という程度ですね。

結論としては、S1500 よりも fi-7160 のほうが裏写りが減った画像が出力されるけど、光学系で何か工夫しているわけではなく、画像処理が優れているだけなんじゃないかという気がします。

比較その3: ぼやけ

前回「ニ行目に色ずれが発生している」として貼ったこの画像ですが。

その前後の行もぼやけてますよね。fi-7160 で改善しているか見てみましょう。

まずは見本ということで、フラットベッドスキャナの GT-X820 で、1200 dpi でスキャンした画像です(↓)。

次に ScanSnap S1500。600 dpi でスキャンした時の RAW 画像と最終出力をまとめて貼っちゃいます。ぐにょりが少なそうな部分を選んでいます。


(↑S1500 RAW 画像)


(↑S1500 ScanSnap Manager 出力)

やはりぼやけて見えますね。「題」の最後の二画が不鮮明ですし、ひらがなのハネもきれいに見えません。それと RAW 画像の裏写りしている箇所がノイズっぽくなっています。RAW 画像といいつつ JPEG なので仕方ないですね。

fi-7160 も 600 dpi でスキャンしたものを、前項と同じく 4 種類。


(↑fi-7160 RAW 画像)

(↑fi-7160 RAW 画像の色変換後)

(↑fi-7160 ScanSnap Manager for fi Series 出力)

(↑fi-7160 BTScan 出力)

こちらも S1500 と同程度にぼやけています。また、細かい色ずれは上の S1500 の画像よりも多そうです。前回の検証では目立たなかったんですが、黄色っぽい原稿だと目立つんですかね・・・。
この画像だけ見てもわからないとは思いますが、BTScan は TWAIN で取得した画像を JPEG の最高品質で保存しているので、変なノイズが乗ったりしないのは嬉しいです。

「1200 dpi と 600 dpi で比べてるから不明瞭になるのは当然なのでは?」という疑問もあると思うので、最後に GT-X820 で 600 dpi でスキャンした画像も載せておきます(↓)。

同じ 600 dpi でもやっぱりフラットベッドスキャナーだと綺麗ですね。まあ 1 ページをスキャンするのに数十秒かかる+1 ページスキャンする度に作業が発生するのは堪えられないので、よほど気に入った本でないと使わないつもりですが。

比較その4?: 縦線

ホコリ等が読み取り部に留まり続けるせいで、RGB いずれかの輝度が縦のラインで常に一定になってしまう現象です。

原稿を移動させる ADF では避けられないものなので、fi-7160 でも発生します。

発生は避けられなくても検出はできるはずで、fi-7160 では「Software Operation Panel」→「装置設定2」に「縦スジ検知設定」と「縦スジ検知レベル」の設定があります。ということで「有効」「感度-高」にして実験しているんですが、今のところ検知してくれたことはありません・・・。あまり頼りにせず、こまめに清掃するのがよさそうです。

まとめ

fi-7160 は ScanSnap S1500 と比べると

  • ぐにょりがかなり少なくなっている(ゼロではない)
  • 画像の補正がいい感じにかかるので裏写りが目立たない
  • TWAIN 対応なので、劣化のないデータが取り出せる

といった利点がありました。(速度が向上したりもしているんですけど、読むのがボトルネックになっているのでそこは重視していないです。)

ClearScan に失敗する問題は解消しなかったので、S1500 で文章中心にスキャンしている人が 9 万円近く出して買い換えるほどかというと、そうでもないと思います。マンガ等をスキャンする時には恩恵は受けられるので、こだわり次第では悪くない選択なんじゃないでしょうか。

最後に

色々とそれっぽいことを書いてきましたが、なにかしら勘違いしている部分もあるかもしれません。何かおかしな点に気付いたらご指摘ください。