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ScanSnap S1500 と fi-7160 の比較(1)

最後に ScanSnap S1500 と fi-7160 の比較を書いて S1500 の話は終わりにしようと思ったのですが・・・長くなったので二回に分けます。

まずは ScanSnap S1500 の不満点(いわゆるぐにょり)と、それが fi-7160 で改善されたのか、です。

ScanSnap S1500 の不満点

前回書いたとおり技術書は ClearScan で OCR をかけているんですけど、たまに OCR に失敗している箇所があります。例えば以下の画像は、1 行目と 3 行目は ClearScan がうまくいっていて文字の境界がはっきりしているのですが、2 行目はぼやけた感じになっています。

読みづらいし、この箇所は検索に引っかからないことがあるしで、わりと困ります。

OCR 前の画像を見ると、OCR に失敗した行で、妙な色にじみが発生しているのがわかります。

文字だからまだ「読めればいい」と割り切れもしますけど、マンガは絵を楽しむ部分もあるので、こうなってしまうとがっかりです。

fi-7160(と GT-X820)の購入

上位機種である fi-7160 ではこの辺りが改善されているということで、消費税が上がる前に買ってしまいました。ビックカメラで長期保証をつけたので、85,800円 + 3,431円 = 89,231円。

ついでにハードカバーのスキャンや、見開きページを断栽前にスキャンするために、フラットベッドスキャナーの GT-X820 も買いました。こちらは 24,117 円。

ということで、主に fi-7160 と比較しつつ、たまに GT-X820 の話も挟んでいきます。

比較その1: ぐにょり

スキャナー - 自炊技術 Wiki* に説明があるように、

本をデジタル化しよう ScanSnapは歪むのか?
原稿の左右の端に近い部分が歪む。
なお、自炊スレの一部の人たちは、この歪みを「ぐにょり」と読び、この歪みのためにScanSnapを毛嫌いし、ScanSnap所有者に冷たい態度で接する。

この例のように画像(特に直線)が極端に歪むことを「ぐにょり」と呼ぶことが多いようです。冒頭で挙げた文字の色にじみ(とそれに伴う ClearScan の失敗)も、歪みが原因で発生したものですので、この現象を抑えることができれば改善しそうです。

S1500 のぐにょりの傾向

Printable Paper というサイトで方眼紙その他の PDF が作成できるので、これを作って検証してみます。使ったパターンは Hexagonal で、オプションは以下のとおりです。

  • PDF Document Size: A4
  • Minimum Border: 0.05 cm(余白なのでてきとうで OK)
  • Line Weight: 1 points
  • Hexagon Size: 0.05 cm
  • Hexagon Color: Black

余白を切り落としてスキャンするとこんな感じになりました。


(クリックで拡大)

歪みの原因はと原稿の揺れだと言われています。原稿の送りが一定でないと、歪みとともに色ずれが発生するので、色がついている箇所に注目すればその歪みがわかりやすいです。

この画像でもよく見ると色がついているのがわかるのですが・・・さすがにわかりにくいので、PIL(Python Imaging Library)を使って、歪み部分を強調させてみます。

使ったスクリプトhttps://gist.github.com/miau/ef3fdc496b17da4df2da

RGB それぞれの輝度が 20% 以下の範囲に納まっている場合は歪みはないものとして黒で塗りつぶしています。

Python なのでわりと時間がかかりますが、結果はこんな感じです。


(表面。クリックで拡大)


(裏面。クリックで拡大)

何度かスキャンしてみましたが、傾向は変わらず。横一列の歪みがコンスタントに発生しているのは

  • 表面
    • 上から 2.5cm 付近
    • 下から 5.3cm 付近
    • 下から 2.3cm 付近
  • 裏面
    • 上から 1.7cm 付近
    • 下から 6.1cm 付近
    • 下から 3.1cm 付近

でした。これ以外にも、左右の端に強い歪みが発生している箇所もあります。(表は下から 3.3cm、裏は 4.3cm 付近)

ぐにょりの原因をもっと詳しく

原因については

にわりと詳しい説明があり、前項で調べた歪みが生じる位置と、S1500 の部品の配置を見比べた上で整合性を合わせると、以下のようになるのではないかと。


こんな感じで左から原稿が流れてくるものとして。原稿が排出ローラーに達するまでは、ぶらぶらと揺れながら送られるので、細かい歪みが発生します。


排出ローラーに達したタイミングで、一度めの大きなぐにょりが発生します。ローラーの端に当たったりしているのかもしれません。
そこからは両側のローラーで送られるので、しばらくは比較的安定した状態が続きます。


ピックアップローラーを離れるタイミングで(?)二度目の大きなぐにょりが発生します。距離からするとピックアップローラーのあたりで何か起きているとは思うのですが、何が起きているかはよくわかりません。
今回の原稿では、このしばらく後に、左右の端で特に強いぐにょりが発生しています。紙のたわみ具合に起因しているのだとは思いますが、こちらも原因はよくわかりません。


最後の大きなぐにょりは、原稿がフィードローラーを離れるタイミングです。支えがなくなるので、ここは納得です。その後はまた紙がぶらぶらするので、細かい歪みがまた発生すると。

とまあ色々説明してきましたが、紙質やサイズが変わると、傾向も変わってくると思います。何よりも、排紙時に原稿が引っかからないように気をつけたほうがよいです。特にこのスタッカーのくぼみに引っかかると、わりと大きなぐにょりが発生しますので、あらかじめコピー用紙を敷いておく等の対策をオススメします。

fi-7160 ではどうか

さきほどと同じ原稿を fi-7160 で読んで、同じように強調してみました。ScanSnap Manager for fi Series でスキャンすると黒い部分が青〜緑がかってしまいうまく色ずれが強調で検出できなかったので、BTScan を使用しています。


(表面。クリックで拡大)


(裏面。クリックで拡大)

色ずれは fi-7160 でも完全になくなってはいません(そのせいか、ClearScan の失敗は fi-7160 でも発生しています)が、全体的に S1500 よりは穏やかになっていますね。

実際に歪みがどの程度見えるか、格子状の原稿を読み込んでみました。使った原稿はさきほどと同じサイトの Plain

  • PDF Document Size: A4
  • Minimum Border: 0.5 cm
  • Grid Line Weight: 1 points
  • Grid Sacing: 2 lines per cm
  • Grid Color: Black

の設定で出力したものです。

こちらが S1500 で・・・


ScanSnap S1500 表面。クリックで拡大)


ScanSnap S1500 裏面。クリックで拡大)

こちらが fi-7160。


(fi-7160 表面。クリックで拡大)


(fi-7160 裏面。クリックで拡大)

歪みもかなり改善しているのがわかると思います。

サイズが大きくなるので画像は上げていませんが、同じ原稿を何度が読み取った場合、S1500 はスキャンする度に歪み方が変わるのですが、fi-7160 は毎回ほぼ同一の画像がスキャンされました。このあたりは fi-7160 のほうが安心感があります。