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旧字力、旧仮名力

旧字力、旧仮名力 (生活人新書)

旧字力、旧仮名力 (生活人新書)

Web で調べ物をしていると、たまに旧字旧仮名(そういう方は正字正仮名と呼ぶようだけど)の文章に行きあたることがあります。ただの偏屈だろうと思ってたんだけど実は根拠があるらしいことがわかったので、ちょっと興味をもちまして。入門によさげなこの本を図書館で借りて読んでみました。


クイズ形式で書かれてるので読むのに結構時間がかかりますが、楽しく読めますし、頭を使うぶん記憶の定着もよさげです。実際この本を読んだ後で旧字旧仮名の文章を読みましたが、抵抗なく読めるようになっていました。また、Amazon の書評にもあるようにちゃんと旧字や旧仮名の問題点についても記述があるので、安心して読める本だと思います。

読んで理解したことを適当に並べると、

  • 新字新仮名は不適切に簡易化されている
  • とっかかりは簡単になるかもしれないけど、漢字については字形の、仮名遣いについては主に活用の整合性がなくなっていうる
  • 漢字については常用漢字の導入だけでなく、拡張新字体人名用漢字といったところまで場当たり的に対応が進んでおり、さらに混乱している

といった感じ。確かにこの辺を理解してしまうと旧字旧仮名を使いたくなるのも理解できました。特に常用漢字云々については、ちゃんと小学校で教えておいてほしかったですね。子供のころ「なんでこっちの漢字は線が一本多いんだろう?」とかよく疑問に思っていたので。

で、ちょっと意外だったのは(少なくともこの筆者は)「旧字は手書きできなくてもいいんじゃね?」という考えであること。手書きのときは筆写体で書けばいいんだし、新字を導入する必要なんてなかったのに、ということらしい。確かに手書きで「門」とか「機」とか省略したりするけど、だからって元の字がわからないってことにはならないし、この運用で困ることはないなぁ。

もう一つ興味深いのは旧仮名遣いのうち、字音仮名遣いと呼ばれる表記方法。現在では同じ「こう」という文字でも、公(こう)、劫(こふ)、高(かう)、甲(かふ)、くわう(光)のように中国語の発音に沿った形で書く表記方法。これを使えば IME の変換効率を上げることができるのでは?という気がした。ユーザレベルで入力効率を向上する試み(月配列、AZIK、きゅうり改 みたいな)は色々あるけど、変換効率を向上する試みは少ないので、ちょっと考えてみたい。文脈を考慮しない SKK と相性がいい気がする。まあ、そんなうまくいかないんだろうけども。